【ヘルマン】私のほうから・・・というよりも、騎士団として発案し、ミケル氏の了解を取り付けました。 ■どういった経緯で発案に至ったのでしょうか? 【ヘルマン】先日、国王陛下の名代としてフェイヨンを訪問した際に、フェイヨン自治軍を視察する機会に恵まれました。その際に抱いたのが兵士の錬度云々ではなく、基本的な戦うということについての精神の違いのようなものを感じたのです。 例えるなら、フェイヨンは周知のとおり優れた弓手を輩出してきた風土があり、弓によるアウトレンジからの攻撃を重視する傾向にありました。 ■風土の違いが戦い方の観念の違いを生み出したと? 【ミケル】その違いについては、身近な例として騎士団と聖堂騎士団とでも異なっている点でハッキリしている。我々は共にルーンミッドガルド王国を守る戦闘組織ではあるが、その性質は明らかに異なっている。 【ヘルマン】その性質の違いが良し悪しとは一概には言い難いもので、我々のやり方がこうだからそれに従えというのは正しいとはいえませんし、優れた点をわざわざ放棄する必要などないでしょう。 【ミケル】しかし実際の大規模な戦闘が発生した場合に、それぞれがそれぞれの戦い方で勝手に動いてもらっては困る。 【ヘルマン】そのためには正しい戦力の把握と統一した命令系統の確立が必要となってくるわけです。それは、冒険者たちの義勇軍と行動を共にする場合にも言える事です。 ■今回の演習で、同盟国であるシュバルツバルド共和国のほか、アマツやコンロンの兵士を招いているのはどういう意図によるものでしょうか? 【ミケル】会見で述べたとおり、他国との共同作戦に従事する可能性を考えてのことだ。 ■その共同作戦とは具体的にどのようなことでしょうか? 【ヘルマン】魔物討伐。その他に考えられる事はないでしょう? 【ミケル】(うなずいている) ■たとえば同盟関係に則った対外的な戦略なども考えられると思いますが。 【ヘルマン】ノーコメント。 【ミケル】今はそのようなことを語る時期ではない。 ■話題を変えます。今回の会見が発表されて巷では演習はナイトとクルセイダーの対決という見方がされていますが、その点はいかがでしょうか? 【ヘルマン】ナンセンスの一言に尽きます。確かに紅白に分けて、その指揮官として騎士団、聖堂騎士団の双方の幹部がつきますが、騎士団の指揮官の下にクルセイダーが従いますし、その逆もあります。 【ミケル】今回は命令系統や連携の確認を主体としているので、紅白のどちらが勝ち、どちらが負けるという点については重視をしない。勝った方はその勝因を、負けたほうはその敗因を演習の後に分析して今後に役立てるのが最大の目的だ。 ■指揮官の選定は済んでいるのでしょうか? 【ミケル】現在その作業は進めている。すぐに発表できると思う。演習の詳細もその頃に発表する。 ■指揮官は双方の幹部が行うということですが、お二方が直接指揮をされることはないのでしょうか? 【ヘルマン】基本的に選定結果については発表まで待っていただきたいのですが・・・まあ、それに関してはないと断言しておきます。 【ミケル】我々はあくまで監督の立場あるので演習には直接参加するつもりはない。 ■今回はミッドガルド放送局での実況をはじめ、実際の演習フィールドに観覧席を設けるなどについて、大侵攻で犠牲となった方々の遺族から反発が早くも出ているそうですが、これについてはいかがでしょうか? 【ヘルマン】遺族の方々の悲しみは深く理解しているつもりです。しかし我々は見世物として演習を行うつもりは毛頭ありません。 【ミケル】演習の実況と公開に踏み切ったのは、王国国民に対しての示威行為であり、再度大侵攻が起きてもそれを留めることができる得るのだと示すことにある。 【ヘルマン】遺族からの抗議は真摯に受けるつもりですが、演習を中止ことは考えていません。 ■最後に演習に向けて一言ずつお願いします。 【ヘルマン】今回の演習では各都市の兵士たちだけではなく、義勇軍と正規軍との連携についても重視したいと考えています。総合演習に多くの冒険者が参加してくれることを望みます。 【ミケル】演習においては我々の力を存分に見せることができると思う。多くの市民諸君はこの演習に注目して欲しい。 ■ありがとうございました。総合演習が良い結果で終わるようにお祈りします。 [Text by トウコ=ミツキ] |