鎮守府新聞ワレアオバ│Naval District Newspaper Ware Aoba

遠征報告:潜入!海上自衛隊第二術科学校! (2/2)
2015.09.19

つぎは歴史保存エリアへ
ここには旧海軍や海上自衛隊にまつわる碑などがまとめられています。

「海軍水雷学校跡」

この第二術科学校のある場所には海軍水雷学校がありました。
戦後の旧軍港市転換法(軍転法)で敷地は民間に売却され、
この碑は関東自動車工業(現、トヨタ自動車東日本)の本館前に設置されていましたが、
平成21(2009)年にこちらに移設したとのことです。

「海軍通信教育発祥記念碑」

海軍通信学校は水雷学校の一角に設立されましたが、後に久里浜へと移転しました。
その跡地は現在、陸上自衛隊久里浜駐屯地として使用されており、
海軍時代の通信機器や遺物を展示した資料館が設置されています。

「海軍上等兵曹、上崎辰次郎の碑」

こちらは昨年『遠征報告:横須賀を歩きましょう!』で紹介していますので割愛します。

「海上自衛隊発祥乃地」

海上自衛隊が創立に際して旧海軍の軍用地は米軍が使用しているか
軍転法で民間に売却されていました。
しかしこの地を購入した民間企業が旧海軍との深い結び付きから
海上自衛隊への譲渡を快諾されたため、ここ田浦が海上自衛隊の発祥の地となったとのことです。

ちなみに平成24(2012)年に行われた自衛隊創立六〇周年の記念式典を
陸自、空自は市ヶ谷の防衛省で開催しましたが、海自のみ発祥の地である田浦にて行ったそうです。

「記念機関」

海上自衛隊草創期の護衛艦(PF)と同型式の機関だそうです。
こちら自体は旧軍時代の雑役船の主機関だったものを
えい船4号(タグボート?)で昭和30年初頭まで使用していました。
退役後は二術校で教材として使用されましたが、
蒸気機関が使われなくなったことで任務を果たし終え、
記念機関として昭和53(1978)年に保存されました。


このあたりで二術校に来ていた、ごむを司令官(青葉のTwitterフォロワーさん)に
青葉の存在がばれました。


ごむを司令官

青葉、逆探知を実施します。
ご本人から手持ちのアイテムなどの情報を得たので、Search and Destroy開始!

史料室に行くというのでそちらへ移動。
……の前に帰りのシャトル便の乗船券を配布するというので待機。

最後から二番目の便の乗船券をゲットしました。


乗船券に並んでいる最中に相撲展示が始まっていたので少し見学。

なお、帝国海軍では訓練課目に相撲を採用しており、
山口多聞提督は戦艦伊勢の艦長時代に相撲指導に熱心だったことで知られ、
他ではマットを敷いて行う程度の中、甲板上に土俵を作ってしまうほどで
『伊勢部屋』と呼ばれたという逸話があります。


では改めて史料室へ。

二術校には「海軍機関術参考資料室」、「海上自衛隊創設史料室」の2つ史料室が設置されています。

「海軍機関術参考資料室」

こちらは戦前の海軍艦艇の機関術に関する資料等のほか、
海軍機関学校で英語教師を務めた芥川龍之介先生に関する展示などもあります。
今回は赴任前に提出された履歴書が展示されていました。





「海上自衛隊創設史料室」

こちらは創設六〇周年記念日にあたる平成24(2012)年4月26日に開設され、
海上自衛隊創設から現在に至るまでの経緯や取り組みなどが解説されています。




敗戦により日本の陸海軍は解体され、陸自と空自はアメリカによって
ゼロベースから創設されましたが、
海自だけは日本海軍の元軍人が多数入隊しており、実質的に日本海軍の継承組織となっています。


大講堂にて海上自衛隊創設の歴史についての公開講座が行われるのでそちらに移動。

創設の歴史については
『海上自衛隊はこうして生まれた「Y文書」が明かす創設の秘密』 (NHKスペシャルセレクション)

こちらの書籍を読むのが一番よくわかるかと思います。
ドキュメンタリー番組としても放送され、DVDも発売されています。
(TSUTAYAのオンラインレンタルでもレンタル可能です)

横須賀について取材を続けている青葉にはそれらのことは既知の事なので
思い出しみたいな気持ちでしたが
どうしても知りたいことがあったので質疑応答の際にそれを質問しました。

「海上自衛隊発祥乃地」でも解説しましたが、
海自創設より前に田浦の地は軍転法で民間に売却されていました。
この地を購入した民間企業が旧海軍との深い結び付きから海上自衛隊へ譲渡された
という歴史があります。

ではその民間企業と旧海軍との結び付きとは何なのか?

青葉は水雷学校跡の碑が設置されていたこともあり、
民間企業とは関東自動車工業(現、トヨタ自動車東日本)と考えていました。
Wikipediaによれば㈱海雄會という社名で戦前から存在していたそうですが海軍との関連性が不明。
(軍用車の納入でもしていたのかと思っていました)

ところが返ってきた答えは予想とは異なるものでした。

その民間企業とは相模運輸倉庫㈱(以下、相模運輸)なのだそうです。
相模運輸は田浦・長浦港周辺で倉庫・運輸業を営む企業です。
二術校に隣接する区域には旧海軍時代からの倉庫がありますが、
相模運輸が使用しているものも多いです。

相模運輸の創業は明治19(1886)年。
昭和19(1944)年には横須賀地区の港湾運送統制会社として株式会社化され、
戦後は横浜、東京、千葉、阪神地区へと事業を拡大させながら今日に至ります。

旧海軍との結び付きは倉庫管理や運送などを請け負っていたことによるものだそうです。
このため、今でも古い事柄を確認するときは相模運輸へと問い合わせることもあるのだそうです。

ガッテンしていただけましたでしょうか?


海上自衛隊創設に関わる経緯で必ず名前の出る
「Y文書(軍備再建に関する研究資料等)」という資料は
防衛省の海上幕僚監部で保管されていて滅多に見ることが出来ないのですが、
講座にて特別公開していますという話を聞き、終了後に再び「海上自衛隊創設史料室」へ。




史料室にてごむを司令官らしき人を発見しました。
ツイートのやりとりで本人であることを確認。

こちらブルースネーク。ごむを司令官を発見した。

(写真掲載はご本人了解済みです)

なお青葉は正体を明かしません(非道)

しばらく追尾すると、ごむを司令官がシャトル便の乗船券配布場所で
「終わっちゃったのか…」とため息。
配布時間に来てないとダメですよぉ。

その後、少し目を離したすきにごむを司令官をロスト。
……まあ人物特定まで出来たので任務完了で!


内燃実習場へ移動
こちらは主にディーゼル機関の展示が行われています。

内火艇用の小型機関「6BG1」運転展示


潜水艦用大型機関「V6V」展示


掃海艇用大型機関「6NMU」展示


護衛艦用大型機関「S12U」展示


ちょうど運転展示を行うというので見学。
騒音がひどいとのことで耳栓をいただきます。

見学者にも起動・停止の運転操作をさせてくれました。
海自の機関員は先輩にどやされ、油まみれな日々を過ごして
ようやく操作をさせてもらえるそうですよ。



案外希望者が少なかったので、青葉も体験させていただきました。
ボタン一つで操作するのとは違って操作している感が違いますねえ。


たかなみ型護衛艦の機関操縦室シミュレータ体験。


以前はあさぎり型護衛艦のシミュレータだったようで、当時の写真を見ると軽い隔世感を覚えますが、
現在はこんな感じで機関の動きをモニタに表示しています。


出港などを体験できるそうですが、残念ながら途中で青葉は時間切れ。

シミュレータ室から出たところで、艦船設計講座に出ていたごむを司令官を補足。
ついに接触しました。

残念ながらあまりお話をする余裕がなかったのですが、
諸々あってシャトル便の乗船券をごむを司令官に提供。
一生恩に着てください(・∀・)

青葉、二術校から撤収です。

サマーフェスタと分離しての単独開催は
これまでの訪問に比べていろいろな体験を出来て良かったです。
来年も単独で開催をお願いしたいですねえ。



以上、青葉でした。

海上自衛隊第2術科学校オープンスクール

日付:平成27年9月19日(土)
時間:9時~16時 (最終入場15時30分)
場所:海上自衛隊第2術科学校
内容:歴史を紡ぐ (公開講座等)、未来への棧 (体験教室・展示、協力)


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