鎮守府新聞ワレアオバ│Naval District Newspaper Ware Aoba

遠征報告:「陸奥」主砲、80年ぶりの帰郷
2016.09.13

どうも、青葉です。

戦艦「陸奥」の主砲の横須賀里帰りプロジェクト。
とうとう、主砲の砲身が80年ぶりに横須賀に帰ってくる日がやってきました。

「陸奥」については説明を省きます。
wikipediaを見てください。

80年ぶりという年数は、
昭和11(1936)年に横須賀海軍工廠で行われた大改修の際に
今回移設される主砲身が「陸奥」に搭載されたことに因むようです。

横須賀にやってくる主砲は一番艦尾の第4砲塔に据えられていたものです。
連装の片割れは呉の大和ミュージアムの屋外に
スクリューや方向舵などと一緒に展示されています。

昭和45(1970)年の「陸奥」引き揚げ作業に携わった
深田サルベージ(株)(現:深田サルベージ建設(株))より
お台場の船の科学館に寄贈されて長年屋外展示されていました。

しかし、平成32(2020)年に開催される
東京オリンピック・パラリンピックに伴う周辺の再開発のため、
移設か廃棄の選択が迫られることに。

そこで移設先に名乗りを上げたのが、
戦艦「陸奥」を建造した海軍工廠があった横須賀です。

海上自衛隊出身の元統合幕僚長、齋藤隆氏が立ち上げた
「陸奥主砲里帰りを支援する会(陸奥の会)」の活動により、
3万3千人の署名と約3280万円の寄付が集まり、
横須賀市からの1300万円支出と合わせて4580万円で横須賀への移設が叶ったのでした。

なお、砲身そのものは横須賀で製造したのではありません。
当時、主砲は呉海軍工廠と日本製鋼所室蘭工場で製造されていて、
片割れの大和ミュージアムの砲身は刻印から室蘭で製造されたことがわかっています。

まあ、先述したとおり搭載したのは横須賀の工廠なので……
里帰りで良いんじゃないでしょうかねえ。

移設先はヴェルニー公園。
青葉個人としては三笠公園に置いて欲しかったところなのですけど。
ヴェルニー公園は旧海軍工廠と隣接していますから妥当な線でしょう。

9月11日:移設前日

東京ビッグサイトで開催された艦これオンリー同人誌即売会の帰りがけに
船の科学館に行ってきました。




1年半ぶりに見ますけど……やはり大きいですねえ。


移設工事の案内も出ていました。


本館のエントランス部分を使用しての写真展「戦艦陸奥」も見学。

おや?ヴェルニー公園での設置予定図もありますね。

船の科学館の展示では砲口は埋められているのですけど、
予定図を見ると抑気具(砲口栓)のイラストになっているのでちょっと期待です。

9月12日:船の科学館からの移設当日

生憎と青葉は都合がつかず、船の科学館へ行くことはできませんでした。

その様子をツイートされている方が居ましたので
写真の掲載許可をいただきました。


写真撮影:ひれんじゃく(@hirenzyaku8)さん

9月13日:横須賀への到着日

朝から雨でした。しかも割と強い。
ハレの日にこうとは、さすが陸奥さんと言うべきですかねえ……

青葉が到着したとき、ちょうど「いずも」が横須賀港から出港していく姿が見えました。

とはいえ、雨で追浜のクレーンすら靄っていたのであまりよく見えませんでしたが。


台座はこのような感じです。
空いた台座も見納めですねえ。

雨足が強くなり、さらに靄がかってきたころに入港して来る護衛艦が見えました。
DD-104「きりさめ」です。


定係港は佐世保なので、横須賀では珍しいフネですね。

雨足が弱まる気配がないので、一時すぐそばのヴェルニー記念館に避難。
港を見渡せる窓から観察していると、
靄の中から起重機船(クレーン船)の姿が見えたので外に出ます。



しばらくすると、主砲を載せた台船もやってきました。


なかなか進展がないので、ヴェルニー記念館を出たり入ったり、
作業を見学している人はこの時点ではまばらでしたが、
実況している人がいたり、
海戦ゲーム「World of Warships(WoWs)」の運営陣が来ていたようです。


玉掛け(物を掛け外しする)作業が始まり、


しばらくして上がった!と思いきや、位置が悪かったのか元に戻したり。



調整後に再度上がると、今度は台船が外されました。


あんなに降っていた雨が上がり始め、雲の切れ目からは青い空が見えました。

主砲を吊り上げた起重機船が迫ってきます。



手前の街灯など軽く超えて台座までやってきました。


いよいよ台座への設置……の寸前で
撮影していたテレビカメラが目の前に来てしまいました。
ああ、もう……

すぐあとにマスコミ用の撮影区域を仕切っていた規制線が解除され、
もう少し近くに寄ることが出来るようになりました。

一度降ろしましたが、位置調整がされたり。


そしてついに設置完了。

吊っていたワイヤーが取り外されます。

横須賀に「陸奥」の主砲が帰ってきました!
関係者の皆様、お疲れ様でした!


作業が終わり、起重機船が離脱。



周囲に回れるようになりました。


そして、陸奥さんと主砲のツーショット。

移設はこれで完了しましたが、
これから公開に向けた整備が行われ、
正式公開は来年の3月予定だそうです。

欲を言えばコンクリートの塊のように見えてしまうので
お色直しなどしていただけると良いんですが……

来年の公開時にはまた取材にきましょう。



以上、青葉でした。

追記
ところどころの写真で黒い丸のようなものが写ってしまいました。
こちらは青葉の取材用のカメラの不具合です。
まだ保証期間内でしたので後日修理に出したのですが、まさかあんなことになるとは……

ヴェルニー公園 戦艦「陸奥」主砲設置

船の科学館での撤去作業及び大型クレーン船での輸送船への積込
 平成28年9月12日(月曜日)7時30分頃~12時頃(予定)
大型クレーン船によるヴェルニー公園への設置作業
 平成28年9月13日(火曜日)8時30分頃~14時頃(予定)
※天候等により日時は変更になる場合があります
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0130/nagekomi/20160831mutsusatogaeri.html

special thanks to ひれんじゃくさん

青葉写真館
本文で紹介できなかった写真たち

写真展「戦艦陸奥」の展示内容





南極観測船「宗谷」

こちらも周辺整備のために、向きを変えて移動予定。


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